引越しするときの掃除は必要?⇒しなくてもいい、けど…?
実際のところ旧居で掃除を行う必要があるのでしょうか。
ネット上でも「やる意味がない」「やったところで敷金の返還額(後述)は変わらない」といった発言を少なからず見かけます。
その答えは「必ずではないが、したほうが良い」です。
議論の多い「引越しの掃除」であえて「したほうが良い」というのには理由があります。
その理由が以下の二点です。
マナーとして、常識として
実際のところ多くの家は退去後に「ハウスクリーニング(清掃)業者」を入れ、次の入居に備えます。
そのため、管理会社や貸主によっては「掃除はしなくて良いですよ。」といわれることも。つまりネット上で「掃除する意味がない」と言われるのは、間違いではないのです。
ですが、ここであえてしたほうが良いというのには理由があります。その一つが「互いに気持ちよく引越しをする」ためのマナーであるからです。
「立つ鳥、後を濁さず」という言葉のように、人の去る姿は印象に残るものです。
家の姿はその人をあらわすといっても良いでしょう。
実際、退去時には貸主が立ち会い、家を見て回ることがほとんどです。
その際、荒れ放題の家をそのまま明け渡す、そのような人を見て何を思うかは想像できると思います。
借りていたものを返すとき、次の入居者を考えたとき「自分で掃除をしよう」という気持ちはやはり「マナー・常識」として大切なのではないでしょうか。
もちろんそれだけの話ではありません。
その「気持ち」「マナーや常識」は管理会社や貸主が受ける「印象」となり、次でお話する「敷金」にかかわることがあるのです。
敷金の問題
結局のところマナー・常識は時代に左右されるものです。
世代が変われば、マナーも変わり「マナーだから掃除をするべき」といっても納得できない人は少なからず出てくるでしょう。
そこでもう一つ、理由として挙げられるのが「敷金の問題」です。
※「敷金について」くわしくはこちらをご覧ください。
⇒「引越しの『掃除』と『敷金』!知っておきたいポイントとは」
「敷金」とは万が一に使うお金を貸主に対して預けることを言います。
万が一とはたとえば「家賃が払えない状況」や「退去時のハウスクリーニング代」などです。
つまり本来は何もなければ全額戻るお金です。
現状では賃貸契約における「原状回復義務(入居時の状態に戻す義務)」に則って、ハウスクリーニング代など差し引かれた残額を受け取ることが多いようです。
このように契約上の「借主が負担する範囲」で支払いが発生したとき、利用されるのが「敷金」です。
そこで問題になってくるのが「借主が負担する範囲」。
もともと法的な「負担範囲」に関する記述がないため、貸主との契約書(賃貸契約書)を中心に規定されます。
ただこの契約書に明確な記述がない場合、結局は貸主のその場の判断にゆだねられてしまいます。
さらに、たとえ貸主側の負担でも「普通に掃除をして、普通に生活をしていたらこんなにはならないレベル」の汚れであったのなら借主の負担になることがあります。
そしてこの「レベル」も明確に決まっているわけではありません。
つまり退去の部屋を見た貸主の判断に大いにゆだねられてしまうのが「敷金の問題」というわけです。
そのため、できる限り部屋をキレイにしておくべきであり、貸主の判断も加われば退去時の印象といったものも少なからず影響するといえるでしょう。
引越しの掃除はどこまですれば良いの?⇒一目見て汚いと思わない程度
すでにお話したとおり、ほとんどの場合旧居にはハウスクリーニング業者が入ります。
そのため徹底的に掃除しなくてはいけないということはありません。
忙しいようならば日ごろの掃除くらい、余裕があれば年末の大掃除くらいの心持ちでやると良いでしょう。
間に合わない!最低限の掃除しかしたくない!という方はこちらをご覧ください。
⇒「引越しの掃除が間に合わない!最低限すること・オプション・代行業者」
引越し掃除はどのような順番でするべき?⇒当日は最低限、あとは前日までに済ます
頑固な汚れなど汚れが目立つ場所は、掃除にも時間がかかります。
そのような掃除量が多いもの、掃除の手間がかかるもの、難易度が高いものはなるべく前倒しで行うべきです。
とくに早めにしておきたいのが、
- 浴室(カビ・アカ)
- トイレ
- 台所(アカ)
- キッチン(コンロの焦げ付き、換気扇、油汚れ)
- 窓ガラス
- 壁
- 床
です。
「浴室」「ベランダ」「キッチン」と一日一日やる場所を決めると効率的でおすすめです。
また、よく使うところは後回しに、あまり使わないところから行うと「掃除したのにまたしなくては…」といった二度手間にならずにすみます。
当日はなるべく最低限で、荷物を運ばなければできないところ、最後まで使用するところを行うようにしましょう。
またゴミも最小限にできるよう、ゴミが出ない掃除の工夫をしましょう。
たとえば当日も使うであろうトイレは、水に流せるタイプのそうじシートがおすすめです。
<当日に行う掃除>
- 玄関
- 大型家具、電化製品の下や裏
- トイレ(使った後に軽く)
- 各部屋の天井・壁のほこりと床掃除(軽く)
効率的な掃除を
引越し当日は想像以上に忙しくなります。
効率的な掃除を心がけると当日も楽に引越しをすることができるでしょう。